先日、ピアノの調律師さんにお会いしました。
その調律師さんは、この道40年の大ベテラン。単なるピアノの調律師ではなく、壊れて眠っていたピアノを甦らせたり、日本製のピアノでも洋物バーツに交換して世界基準のピアノにフルチューンナップしてくれたり、まさにピアノの「名医」でありました。
今回、アップライトピアノ購入目的で調律師さんがかかえている在庫を試しに見させていただきに行きましたが、昼食とお茶菓子までご相伴にあずかり、様々四方山話をうかがうことが出来ました。
その中で特に印象的だったのが、グランドピアノとアップライトピアノの違いについてでした。
鍵盤を押すとハンマーが弦を打つというピアノの仕組みを【アクション】と言います。
・グランドピアノ :アクション構造が水平
・アップライトピアノ :アクション構造が垂直
グランドピアノの場合、アクション構造が水平なのでハンマーが弦を打つ際に多少の遊びがあり、ピアニッシモ(極めて弱く)が正確に表現できます。すり足の描写まで再現できるとのこと。一方、アップライトピアノはアクション構造が垂直に配置されています。ハンマーが弦を打つ際の遊びが重力構造上出来ない(すり足でハンマーを叩けない)ため、正確なピアニッシモが表現しにくいそうです。
グランドピアノ、アップライトピアノの違いは、大きさやダイナミックな音律を奏でられるか否かの違いだけでなく、正確に音を表現できるか否かが重要な点だということでした。特に小・中・高校生の若年の奏者にはグランドピアノで正しい音を聞いて学んでほしいと、《ピアノのようなもの》を弾いて学んでいってほしくないと、調律師さんは強く語っていました。しかし、物理的・金額的な障壁がなければ即購入しますが…。
また、部屋の防音を考えていると話したところ、こんなことを教えてくれました。
- 部屋を完全防音(無窓・湿度調整なし)してはいけない。
- 音漏れの原因は窓。窓を二重サッシにすれば解決する。
防音することで気圧・乾燥が制限され、ピアノの木材が変形し、音が出なくなることがあったそうです。鍵盤を横から見たら、笑った顔(段差で波打っていた)をしていたそうです。
最近の住宅は壁材に断熱材(ガラスウール)が含まれており、壁から騒音は外に出ていかない構造。問題は窓にあり、二重サッシにしておけば音漏れはほぼ問題ないそうです。ちなみにペアガラスはダメです。
防音工事にかける費用をピアノ購入代に回した方が賢明とアドバイスいただきました。我が家もそれでいきたいと思います。
音楽の楽しみ方は、人それぞれです。
クラシックは時代背景、作曲者の想い、奏者の魂の再現を味わうのが醍醐味でしょう。また、レコード、CD、電子媒体による楽しみ方もそれぞれ風合いがあったり、利便性があったり魅力があります。
今回の話題は、あくまでピアノに焦点を当てた音楽についてとなります。
音律を因数分解して、その最小単位・構成を知る。学術的に音域を知ることは、正確な音の再現を可能にします。それが時代を超え、現代に甦らすことが出来ることがクラッシック(古典音楽)の魅力ではないでしょうか。ともかく、生の音源を聞いて臨場感と迫力(ライブ感)を味わうことは、スポーツも然りですが、如何にオンラインや録画映像が発達しても難しいですね。
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